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120 美酒 会 メールマガジン 45号 2011年7月20日
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美酒 会 HP http://120mitakai.com/120bisyu/
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毎日暑い日が続いていますが皆様お元気にお過ごしですか?
7月13日の美酒会では80人の方に参加いただき有難うございました。
会の報告と後輩からの感想、そして美酒会便りからの挨拶文を掲載しました。
当日の写真は来週末にはHPにアップ予定ですのでしばしお待ちください。
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第17回美酒会報告

7月13日、鶴齢蔵元青木社長をお招きして幅広い年齢層の塾員80名程が
T.Y.ハーバーの水上ラウンジにお集まりいただきました。
水の揺らめきを感じながら 美味しい日本酒を仕込み水で作った氷を
使ってのシャンパングラスやロックグラスでいただく最高にスマートで
贅沢な美酒会となりました。
夕暮れ迫る頃TYハーバー自慢の地ビールを片手にテラスでそよ風を
感じていると、杉原会長が得意のカヌーで運河より登場し参加者から
拍手喝采で迎えられました。
最初はクラッシュアイス入りシャンパングラスに注いだ金賞受賞の
大吟醸生詰原酒「牧之」にて、スーツ姿の青木社長により乾杯の御挨拶。
その後ラフな短パンに着替えた社長と共に「純米吟醸」「純米生酒」
「特別純米無濾過生原酒」「義援金プロジェクト企画純米酒」と厳選された
お料理をブッフェスタイルで楽しんでいただきました。
又、山田平安堂からお借りした漆の特大酒盃にてグラスとの味わいの違いを
体験してもらいました。
酒蔵のモノクロ映像と共にDJ高木氏選択による音楽と、最高の雰囲気で
あちこちで会話が弾み「SAKEが深める慶応の縁」を実感したひと時でした。
今回の会場のオーナーである寺田様の特別な御配慮に感謝すると共に、
青木酒造様より寺田様が会長を務める「国境なき子供たち」に日本酒
代金を寄付なさいました事も合わせてご報告いたします。(妹尾)

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以下は 当日配布しました「美酒会便り」からの文章です。
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12代目鶴齢蔵元 青木貴史

本日は杉原会長 妹尾副会長 村田事務局長 120美酒会会員の皆様
寺田倉庫さまはじめ多くの方々のご協力により弊社鶴齢の酒を楽しんでいた
だける機会をいただきましてまことにありがとうございます。
鶴齢醸造元青木酒造株式会社は創業1717年(享保2)より休むことなく酒造りを
行っています。私どもの住む魚沼地方は大変な豪雪地帯であり12月末から3月
中旬まで雪に閉ざされた生活を余技無くされてきた場所でした。
雪国の名著1837年(天保8)に出版された「北越雪譜」の著者鈴木牧之はその
中で「我住む魚沼郡は日本第一に雪の深くふる処なり・・・」とその冒頭で述べて
います。この鈴木牧之の次男坊の弥八が平野屋(青木酒造)に養子として入って
きているので「鶴齢かくれい」という名前は牧之が付けたと言い伝えられております。
そんな雪が生活文化を作って来ました。
冬の間は新鮮な食材などは手に入らず保存食や雪の下に入れておいた根菜類
などを味噌や醤油などを主とした味付けとして生きてきたのでしょう。そんな
食文化に合わせるため鶴齢の酒も淡麗辛口の酒が新潟県には多い中、
淡麗旨口の酒を作り続けています。

こんなエピソードがあります。2004年10月23日に発生した中越大震災の時、
魚沼十日町のとある限界集落に続く道路が分断され流通が途絶えてしまいました。
なんとか道路を復旧させてそこの集会所に行ってみるとみんな元気に宴会をして
いたそうです。我々は外の世界から分断される歴史をもう何百年と繰り返している
ので、地震で分断されてもお互いの食料や酒を分け合い、そして助け合い生きて
いく知恵が文化として備わっていたのでしょう。

そんな雪深い魚沼は酒造りにも適しています。
雪は冬になると5m〜8m積もりますが、春になるととけて地中深く染込み濾過を
され地下水となって鶴齢の井戸から出てきます。
雪は雑菌やチリゴミなどを落とし空気をきれいにし、さらに天然の冷蔵庫の役割も
果たします。雪は大地をリセットさせ春の田植えの時期には土壌を清浄化し、
日本で一番と謳われる魚沼産コシヒカリを作ります。予断ではございますが、
歴史上魚沼地方は飢饉に合ったことがありません。
このように自然が協力してくれる環境の中で酒造りをさせていただき旨い酒が
出来なければそれは私の責任です。
14年前先代が亡くなり学生だった私が東京より引き戻されこの魚沼の地で
酒造りをさせていただくことなりました。当時右も左も分からない私を杜氏蔵人や
営業スタッフたちが必死になって支えてくれました。また、100年以上も付き合い
をさせていただいている近隣の先輩蔵元から色々学ばせていただきました。
その教えの中で一番気に入っているのが、どこの蔵元かは申しませんが「芸者に
かわいがられる蔵元になれ」という教えでした。
現在鶴齢では2,500石(45万リッター)の酒を作っております。私が帰ってきた
頃は2,200石でしたので現在とさほど変わりませんが、現在の仕込み本数は
115本で、帰ってきた頃は55本でした。なぜここまで違うのかを申しますと、
仕込み数量を約半分にしたからです。仕込み数量が多いと一気に大量の酒を
作ることは出来ますが、弊社の考えですと少ない量のほうが温度管理をしやすい
メリットがあると考えております。しかし手間は倍になります。杜氏に話したところ
「これからの酒造りはそうじゃなければならない」と二つ返事で了解してくれました。
原料米処理(米を洗って浸漬させる事)も機械屋さんと共同開発した独自のシス
テムを採用しています。これは6年前全量手洗いを実行したところ人間のやること
ですのでバラツキが出やすかったので何とか手洗いに近づける事ができないもの
かと考案したものです。
ここ2年課題にしていることは火入れ(熱殺菌して品質を安定化すること)のクオリ
ティーアップです。絞ったら最低でも1週間で火を入れることが出来るようになり
ました。簡単なことのようにお思いでしょうが、これには余裕あるタンク数と貯蔵庫と
計算が不可欠なのです。このために昨年はサーマルタンク10本新設し、急冷を
かける(酒の温度が上がった状態が長く続くと酒の劣化につながります)装置を
機械屋さんと開発し成功し、昨年より使用しております。
また魚沼で取れた酒米で作りたいと思っており現在農家さんと契約させていた
だき魚沼の中でも一番高値を付ける君沢地区で越淡麗という新潟県が開発した
酒米を作っています。少しずつですが量を増やしていただいております。
越淡麗に関しては県内(新潟県の酒蔵しか使用不可能)の酒蔵のなかでダントツ
の使用量を誇っております。
現在考えていることは雪室によるビン貯蔵です。これは私が来年前厄ですので
後厄が終わった頃がちょうど良い頃になっているだろう(時流も政権も)、と考え
ております。
最後になりましたが、私が蔵に入ったばかりの頃、朝礼でよく言っていた言葉は
福澤先生の「独立自尊」のお言葉です。「失われた十年」といわれ何か目指す
ものが世の中から失われてしまった感じがあったときですから、会社の中も
その雰囲気に飲まれていました。自分たちの力で何とかしなければならないのだ、
と伝えるときに福澤先生のお言葉は大変ありがたく感じました。現在全社員が
「学問のすすめ(口語訳版)」は拝読させていただいております。
鶴齢の社是は「和合」です。これは飲み手 売り手手 作り手の三者の和合に
よって旨い酒は醸されるという先代からの教えです。今回の120美酒会さまとの
ご縁をきっかけに、さらに旨い酒造りに精進させていただきたいと思います。

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美酒会会長 杉原英二

大震災から4ヶ月過ぎ、今だ福島原発の行方が見えてこない状況の続く中、
新設された復興相が心無い発言で早々と辞任するという事態で政治への
不信感は募るばかり。そこへ今年も猛暑が予測されながらも「国民皆節電」という
ことで皆さんも政府には頼らないで色々と知恵を絞っておられることと思います。
日本酒業界でも7月に入り新潟県の酒蔵がカクテルやオンザロックで「クールスタ
イル」という飲み方提案しています。そのような酒蔵の中で今回、伝統的な日本酒
造りをきっちり守りつつ、新しい日本酒シーンを次々と提案している新潟県「鶴齢」
の青木社長にご登場願います。
300年の歴史を持つ青木酒造の最近の実績は素晴らしく、今年も全国新酒鑑評
会で金賞を獲得し3年連続受賞となり、3年連続は蔵の歴史の中で初めての事と
いうことです。一昨年には新保杜氏が「にいがたの名工」に認定され酒造技術の
高さも実証されてます。また我々がよく味わう酒部門でも、例えば月刊誌「食楽」
(徳間書店)の昨年度、年間日本酒番付で並居る強豪を押さえて純米酒部門、
「特別純米酒 鶴齢」が東の横綱に選ばれるという快挙。またスローフード・ジャ
パン燗酒コンテストでも純米、本醸造部門で金賞をダブル受賞しています。
このような結果は日常酒に対しても心を込めて造っている、蔵の社是「和合」が
なせる技であろうと敬意を表します。今回はそのような旨いSAKEを青木社長と
妹尾副会長がコラボで提案するスタイリッシュな空間で楽しんでください。
私も会場にふさわしくカヌーに乗って参加する予定です!

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美酒会副会長 妹尾理恵

創業1717年から魚沼の地で醸し続ける淡麗旨口酒「鶴齢」を運河に浮かぶ水上
ラウンジにて水のゆらめきを感じながら、この夏一番スマートに楽しみましょう。
私は酒サムライ活動を通して世界のVIP達が日本酒を楽しみ尊敬の念を持って
くださることを嬉しく思っています。外国の方たちは「日本食に日本酒」という「日本
文化の経験」の段階から 自分の生活環境に日本酒を取り入れようと母国の料理
とのマッチングを頼まれるようになりました。これは日本酒が世界酒になる大きな
一歩です。日本酒を嗜むことが世界のグローバルスタンダードになる為には、
洋食とのマッチングはもちろん、もっと気楽に日本酒を楽しめるようなスタイルを
提案していくことだと思います。
鶴齡青木君(旧姓大津君)は後輩より中等部出身港区育ちのやんちゃな青年
だったと聞き親近感を持ちました。震災後新潟魚沼に行くことがあり蔵を訪問し
今年最後の酒造りを見学しました。その時「最高にカッコいいお酒の会しようよ」と
お願いし、場所は「TYハーバーWATERLINE」と意気投合。オーナーの寺田君
に貸切をお願いしました。仕込水で作った氷を入れたシャンパングラスや
ロックグラス等いままでにないスタイルを提案します。今回は青木社長の39歳の
学年はもちろん色々な塾員が80人近く申し込みがあり村田事務局長大活躍!
そして鶴齡の目崎さん、DJ高木さん、山田健太さん、サポート有難うございました。

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美酒会事務局長 村田 健

今年は東日本大地震の被災前に、三和酒造臥龍梅の会を開き、震災後には
ファイト日本 日本酒義援金PJを美酒会も応援しようとのことで、PJ
発起人で事務局長を務められている橋場社長(泉橋酒造)の会を開催し、
今回で今年3回目の美酒会となります。半年で3回は異例の頻度で事務局
は大忙しですが、鶴齢は以前より指名呑みするほど好みのお酒でしたので、
自然と気合が入ります。
2009年連合三田会で慶應出身日本酒OB蔵コーナーを初めて企画提案
させていただいた美酒会ですが、開催前に青木酒造を訪問する機会があり
ました。 魚沼市塩沢は古い町並みが整然と立ち並ぶ、たいへん美しくも
風情がある一角に位置し、約300年絶えることなく手造りを基本に米の
旨味を引きだした味わいのお酒を醸し続けています。 東京から日帰りも
可能で、ガーラ湯沢や石打丸山、上越国際スキー場もたいへん近く、温泉
も楽しめる、欲張りにはたまらないロケーションですので、お勧めです。
今回は初の立食形式で、且つ、同期の枠を超えて、広く日本酒にご興味の
ある塾員の皆さんにも参加いただきます。今宵ひと時を一流のビュッフェ
料理とグラスに注がれた鶴齢で味わっていただき、素敵なBGMと汐風を
肌で感じながら、塾員の絆を深めていただければ幸いです。

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